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Episode.02 公園で出会った友達

ウサギ1匹 徒然おばさんのひとり言
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久しぶりの雨でした。雨上がりの公園の新緑の木々に囲まれていると、まるで時空を超えた杜に迷い込んだようです。刈り込んだ草の匂いがします。ドクドクと溢れ出る湧き水の音に混じって、ウシガエルが声を上げます。・・・ここにいるよ・・・もちろんスズメも負けていません。一面のクローバーの白い海、小径を彩るノカンゾウはやがて昇ってくる朝日に向かってオレンジ色の花びらを突き上げています。そしてネムノキはやさしい色を広げてフワフワと降ってくるよう・・・

早朝の公園にはいろんな人が来ます。歩く人、走る人、犬の散歩、水路の鯉にえさをやる人、自生のクレソンを採る人、時にはオカリナを奏でる人・・・

ある年の夏、この公園に子ウサギが3羽いました。捨て猫ならぬ捨てウサギです。水路に架かった木造の小さな橋の下に穴を掘ってねぐらにし、土手に出てはせわしく草を食んでいました。時々ニンジンを持ってくる人もいて、警戒しながらも食べていました。保護しようとするとすばやく逃げます。管理事務所も困っていました。

「暖かいうちは大丈夫よ、水も草もあるし」とウサギをペットにしている知人が言いました。

「でも寒くなったらどうなるか・・・」

「あなたの家でいっしょに飼えば?」私が言うと・・・

「それは無理よ、ウサギも縄張りがあるから難しいわ」

そうなんだ・・・動物の世界もいろいろあるのね。

そうしているうちに公園のウサギは一羽いなくなって、また一羽見かけなくなり・・・
散歩で顔を合わせる人同士「どうしたんだろうね?」と言っているうちに、とうとう最後の1羽もいなくなりました。

管理事務所によると1羽は貰われていったのを確認しているとのこと、あとはわかりません。優しい人に保護されて幸せに暮らしているのを願うばかりです。

公園を散歩していると時々思い出します。あの夏、ほんの一月ばかりこの土手に子ウサギが3羽いて、知らない人同士がそのウサギをめぐって挨拶をし、同じ心配をし、同じ時間を過ごしたこと。今は散歩する人も入れ替わり、そんなことがあったなんて知る人もいないでしょう。

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