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映画の続きをエンジョイ

カチンコカメラ フィクション

映画を見ようと映画館に行く事には、色々な意味があります。サウンドに迫力があって、感情的なシーンを事細かに感じられます。自宅では、なかなか実現できない鑑賞だと思います。

スクリーンはシネマサイズという画角です。これはテレビや、街角のポップやポスターにもないサイズで、見慣れないワイド感が味わえます。

テレビレトロ

スクリーンと自分の間にある空間は、空を見上げるのと一緒で、壮大な景色を見ているようです。

空地球飛行機雲

映画館では、監督の意志や迫真の演技にも「奥行き」があるように感じます。

監督椅子

「スクリーン」を見ているので、モニターにはない質感が映像に乗っていると思います。

スクリーンでは「反射した像」を見ているので、その周りを暗くしないと像が浮かび上がりません。映写を見るというのは、スクリーン以外の光を暗く絞るという事です。

映画館の上映では映画を見る事に集中できる環境です。その環境をひとつひとつ挙げてみると「映画を見せられている」気分になってしまいます。まるでスクリーンに映し出される映画が、生きているような表現になってきましたが、それらを観客の立場から眺めているので、心地よい鑑賞になります。

上映の楽しみ方では「まあまあかな」と映画を評価する気分も楽しいです。どこかの偉い審査員のようです。

他にも、スポンサー側から冷静に酷評するエリート風とか。

すかしたやつ

ここからの物語りは、縦社会にまつわる映画館に恋するお話です。

レイトショーに向かう足音


仕事が終わると分かれば、いつも足早になってしまう。職場を早く離れたいというよりは、行く場所がある。電車に乗っていても、待ちきれない気持ちがいっぱいで、歩きたくなってしまう。そんな人がいたらと思うと、置き引き間違えられてしまうかもしれない。変に思われていないかと気を配り、真剣な面持ちをする。もちろん自分のバッグは、しっかりと握っている。

夜間電車

電車を降りて真っ直ぐに帰るというより、ちょっと寄り道だ。10分も変わらない距離に、その映画館はあった。今日も明かりが付いていない、その事でさえ見慣れた光景になろうとしていた。

いつものレイトショーという習慣を作り出して「娯楽を楽しんで1日が終わる」充実した生活を実現しようとしていた。

ポップ黄色

「仕事終わりの一杯」とはよく言うが、はっきり言ってお付き合いだ。軽い接待と何も変わらない。同僚と一緒の時でさえも、何か話さなければならないと話題を探すのがストレスなんだ。それは仕事と何も変わらない。

有り余る主張は、もう大人の分別によって分けられている。そして私は、映画を見る事を選んでいる。

映画だと何もしゃべらなくても、その場にいればいい。一人の時間というよりも、世の中を描写した娯楽を楽しんでいる、有意義な社交場だ。

三日月くん

自分一人のわがままでいいなんて、都合が良すぎると思うから、とにかく時間だけは守ろうとしている。そのギブアンドテイクの精神が、心置きなく自分自身でいてもいいとなる、許可証代わりだ。

ただ楽しみがあって、それを楽しむだけ。娯楽に数えるものはいくつかあるけれど、今は確実に映画館に恋してるんだ。

自分の城

諦めるなんて言葉は知らない「今度こそは」と心に誓い映画館を去った。

それから数日の間は、あれやこれやと同じ結果を繰り返していたが、遂に誓いを果たせるタイミングが訪れた。気まぐれのような確率だが、部長の才覚が光った。

30分もあれば片付きそうな要件だったが「この書類が片付いたら今日はもういいよ」 とのお言葉。

この時ばかりは女性社員も勢いに乗って「部長、神ってるぅ」を連呼していた。

マグカップくま

部長判断の「みなし労働時間制」により、本日の就業が満了となった。どこかで稼働率が良く、まとまった生産量が見えたんだと思う。

例にとれば、明日の会議資料まで揃ったのか、これ以上の資料化、もしくは精査が無意味なのか、変更や改訂がもうあり得ない段階なのか。

とにかくこれは、管理職のみが使える「許された休息」である。経験を触媒にしないとできない魔法だ。部長が苦労を同じくされた証拠になり、効率の管理というお役目にしてもセンスが良い。

ポットセット

こういう時には、部長が一人で残らなければならない事も知っている。作業はほとんどないにしても、ちょっとだけ書類を補足したり、他の部署との行き違い修正の連絡ぐらいはある。それもこれも一人で対応できるレベルなら、協力としては100点だ。前に何度かは、心に残る場面も目撃しているが・・・。

白黒銀座

「帰っていいよ」と言われて職場を出たが、忘れものがあったと戻った事があった。部長はまだいると思ったが、そこには二人目がいた。その男は常務取締役。二人の関係は知らないので、仕事の価値観をお互いがどこまで理解しているか分からない。

部長は委縮しながら「何の支障もございません」と説明していた。一通りの擦り合わせを終えたようで、飯の約束を始めていた。部長にとっては、飯も軽い接待だ。これは縦社会人の宿命である。去り際に「その辺、お願いします」と心の中でつぶやいた。

スピードメーター

例のごとく明日には、部長がげっそりしているかもしれない。「許された休息」は、部長が自らを犠牲にしている事でもある。恩恵にあずかる側としては、できるだけ明るい気持ちで再会する事だ。それが休息中の仕事になってくる。

マラソンシルエット

部長にはできるだけ早く「後よろ」するべきだ。溜まったガスを抜いて楽しんだ状態で、約束の再会を果たす。こちらとしては、レイトショーに間に合う時間に帰路に就いた。今は娯楽が公然として許されている状態。急がねば・・・

時間が解決するの言い訳に


帰りの景色は流れるようだった。どこにも焦点があっていない。一目散というよりも荒々しく乱れていて、全てが眼中にないと言った方が正しい。

夕方電車

次にフォーカスインした時には、もうすでにいつもの映画館の前だった。いつものように明かりが付いていない。空いた時間に色々と考えて、今日まで思案してきたが、やっと分かった。その映画館は閉館していた。

「そんなはずはない、閉館しているとは言い切れない」と、小さくつぶやいてしまったのを覚えている。

人間の可能性を見い出したり希望を探す行為が、この時だけは残酷だと思った。全てが厳しく虚しい現実となって、心をえぐり取っていく。

ブレイク青

「今日は祝日だったのか」と思えば、映画館が祝日に休みというのは考えづらい。「時間に間に合わなかったのか」と思えば、周りはまだ明るく人通りも多い。「映画館で働く人の昼休みか」と思えば、見つけ出した看板には間違いなく今が上映時間で、休館日でもない。

亡霊魂

そんなの信じない。この看板の表記が改訂前のままで、今は違う可能性だってあるじゃないか。確認が必要、これが最後の引き際になると受付カウンターを探した。希望を失う事なんて簡単ではない。

扉を開けて館内に進もうとした。でもカギが閉まっていて開かなかった。 そんなの当たり前だ・・・。

カギ水彩

それが苦しかった、息ができないくらいに。悔やみきれないほどに悔しくて、歯を食いしばっていた。最後まで確認させて欲しいだけだった、閉館である事を。カウンターまでは行かせて欲しい、気持ちがあるだけだ。そこでお断りしてくれたら、それでいい。これだと、希望なんて持たない方が楽だったじゃないか・・・。

オフィスビル

自宅に引きこもる悪鬼


涙を流す所まで行けない。歯を食いしばりたいと思うフラストレーションが続いている。どこにもやり場のない、自分の気持ちを背負い込んでいた。目つきが冷徹さを帯びていった。鋭く、どこまでも鋭利な刃物になろうとしている。

ロックグラス

どんな結果があるにしても、全ては現実を知っただけの事。映画館といえども経営がある。だから閉店もある。コスト削減なのか、負債を減らしたのか、有益な閉店もあるんだ。そんな事は分かってる。

こういう事を思慮でぐるぐると回すと「生きる事に疲れた」なんて所が、最終的に落ち着く所だったりする。そしてそれを助長するかのような追い打ちがきた。マナーを外した留守電にならない電話に出ると、シフトチェンジによって明日は休みになった。休みなんて嬉しいはずだが・・・

ダイビングチョップ

自己陶酔も今日までにして、明日は気晴らしに後輩をいじるか、女性社員を口説けばと思ったのに、丸ごと一日を自分と付き合う事になった。こうなると上司のプレッシャーですら恋しい。一日を耐え忍ぶしかない。目標達成まで、あと36時間。

モニターと会話する男


キャバクラに行こうと考えた。キャバクラはお金こそ払うサービスだが、人と向き合ってのやり取りができる。不平不満や愚痴を言いに行っても、ダメじゃないのは分かっているが、キャバクラ好きとしては気分ではない。

ボトル並列

少しはやる気があって、それが下手でも成功として扱ってくれるから素敵な女性たちと言えるのだ。例えば、こんな美女に好かれたのか?ダサいのに良い所があるのか?という具合に、相手を感じてから始まる気持ちのやり取りだ。そのやり取りの中で「宝くじ」に当たったぐらいの成功をくれる女性もいる。

ギフトボックス

今のままではクジを引かない行為に値している。ただの不平不満を聞かせる相手としては、高いだけだ。

自分の殻に閉じこもっていても、問答無用に相手を感じさせてくれるナンバーワンもいる。ちょっとわがままにされた日には、もっと喜ばせてあげられる糸口に、お金かけたくなる。

とにかく今の状態では全てが愚痴になる。脳内の悪臭を漂わせているだけだ。やる気のない死人と通わせる気持ちなんてのは、死人とやればいい。足早に自分の家という棺桶に帰ろう。

電信柱

音がないままテレビを見ていた。さらには何も映っていない。電源がオフになっている事を気にもせずに、テレビを見ていたんだ。不平不満に対しては「そうね」のあいづちもいらない。だって聞いて欲しいだけなんだから。愚痴を言いたいだけだから。お役目は何も映らないモニターでOK。

娯楽を失くした人間が「どれだけ転げて落ちていくのか」という所だろう。

モニターを相手にするのも勿体ない。放送を映すという特技があるのに、これでは台無しだ。棺桶脱出まで残り20時間。

窓越しパソコン

ゴロゴロと寝て過ごしてやり過ごす方法もあるが、頑張って7~8時間が限界だ。寝る前に酒を飲んでいれば、倦怠感が残って12時間はゴロゴロできたかもしれない。

どっちにしても言える事がある。寝ても覚めるってことだ。寝ても覚めても、寝たら覚める。「生きる事に疲れた」なんて、 生きているのが一時停止するのかと思ったが、そういう考えや気持ちを無視するように、勝手に目が覚めていた。

起きたら新しい1日の始まりで、昨日までの事はリセットに近い。思い出や経験の部分が勘になると思うので、その分はリードとなったスタートになると思う。

薔薇色

映画館の閉館は、確かに心に大きな穴を開けたが、それも「思い出」というワードが頭に浮かぶまでの話だ。それによって一瞬で蒸発して、無かった事と同じになる。そしてそれは枕元の時計の音に、ゆっくりと呼び覚まされていく。

ガーデンローズ

デートを取り付けるまでに


素敵な彼女との約束がある。いつまでも昔の彼女を根に持っているダサい男だ。次のデートは、運転手付きの真っ白のリムジンで迎えに行き、広い後部座席からネオンを眺めながら、冷蔵庫のキンキンに冷えたドンペリを二人で乾杯する。ただこれは・・・どうやって・・・ど・・どうすれば・・・?

シャンパンハート

無いお金を貯めた、貯金を使って用意しても認められない。価値のある人間という意味だと思うんだが・・・こう思えばリムジンを用意する必要はなくなるとが「意味の差し替え」になる。弁護士がよくやるやつか・・・こんな言い訳を始めても、結果として用意できるのは妥協した時と同じ。

イメージは常にロールスロイスのリムジン。とにかく彼女とのデート内容は、もう決まっている。どこかで待つ素敵な彼女と出逢えたとしたら、バツ3であろうと、薬物で捕まった出所後だとしても、自己破産間際だとしても・・・リムジンがあればいい。

バイオリンと猫

嫌な事なんて全て窓越しで、お互いに好意を寄せるが隣同士。無理に話せば辛くなる。言葉を見つけなくても、声に出さなくても運転手はいる。それでも不安になるから「お酒が回った」と、いつでも言える。結局・・・あの時と全く一緒。

水彩ライン

あの頃は、お互いに付き合うという意味が分からないのに一緒にいた。話題がなくて間が持たず、隣でそわそわしている彼女。同じように何をすればいいか分からなかったけど、目についた時計を取り上げて浮かんだ言葉を言ったんだ。

「今は時計の音を聞いてるから。時計の音を聞いてるから、静かにしよう。」

ピアノ猫
シャボン玉紫

ふと我に返ったが、しばらく時計の音だけで過ごして眠りについた。この夜が明けるのは12時間後。時計の音は寝ても子守唄で、覚めても最初に聞こえてくる音である。

-END-

翌日の職場での攻守攻防

部長と再会した時には「二日酔いで頭が痛いです」と言った。根本的な話をされて、休みが仕事に支障をきたしてはならないと怒られたが、これも含めていつものやりとりだ。本当は酒を飲んではいないのだが、昨晩は楽しかったというメッセージにはなるからそれでいい。

映画館との果たせなかった約束は、夢の中では今も続いていると思う。何かしらの勘に備わって、いつの日か現れると思っている。

それにしても、年下が敬語を使ってくれる事には感謝している。人がどんな想いを抱えてそこに立っているかは、分かったもんじゃない。それでいて見た目や身振り手振りで抱え込んだ想いなんて分からない。敬語は素晴らしいと思う。敬意を表すのと気遣う事の両方を備えている。冷酷な目つきも、今はもういらない。

自分にも同じ事が言える。年下であろうとも敬語で話すべきである。これは何も間違っていない事だが、行動に移すには自尊心や、腐った慣れ合いの精神が邪魔をする。これは課題になっている。年下でも未熟者でも若造でも、常に敬語で話そうという意識はある。・・・ゴールはどっちだ?

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